ハイクラス求人コーナー
第5回 職種別最新転職事情 金融スペシャリストの転職事情
金融スペシャリスト転職市場の現状に迫る
コンサルタントインタビュー 冷え込む市場の中でも、存在する求人ニーズ
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株式会社テクシブアソシエイツ
エグゼクティブコンサルタント
安嶋 太郎


米国大学院卒業後、安田信託銀行、シティバンク、シティトラスト信託銀行を経て、日興シティ信託銀行にて執行役員COO。その後、2005年より人材紹介の世界へ、現在は株式会社テクシブアソシエイツにてコンサルタントを務める。
昨年のサブプライムローン問題の前後で、金融関連の求人の動きはいかがですか。

サブプライムローン問題ということで言えば、数年前からかなりニーズの高まっていた不動産アセットマネージメント業務、ノンリコースローンに代表される不動産金融業務、またCMBS・RMBSといった不動産証券化関連の求人ニーズが影響を受けています。全般的に求人意欲はかなり限定的になってきており、これらの業務では人員の整理も進んでいるように感じます。また、金融業界全体の雰囲気としては、昨年までは人材への切迫感が大変強くあったのですが、それが薄れてきているように感じられます。

その一方で、[en]転職コンサルタントには新規の求人も寄せられています。求人をおこなっている企業もあるということでしょうか?

はい。各社が横一線で、求人を手控えている訳ではありません。むしろ、採用ニーズの高い状態が続いており、常に求人はあります。ただし、これまでの過熱感が一服して、経験の浅い方のポテンシャル採用が減っています。また、採用の目的として、業務拡大が中心だったものが、退職者または不足人員の補充という理由へとシフトしている会社も出てきています。

したがって、今転職を考えるのであれば、未経験の業務にチャレンジするというよりは、自分の経験・スキルを活かすことを念頭において転職活動に臨むことが重要です。

また、新規の求人は、企業によって、またポジションによって状況が異なってきています。例えば、資産運用関連でいえば、大規模な新規のファンド立ち上げに伴う求人は少なくなりました。しかし既に運用を開始しているファンドについては、メンテナンスをおこなって成果を出し続けるために、優秀な人材の募集がおこなわれています。さらに、外資系企業の中には、今のメンバーよりも優秀な人がいればリプレイスしたいといった潜在的なニーズもあります。現在は、スキル・経験を活かし、キャリアを高めるための転職にはチャンスがある環境です。

また、それ以外では「不況に強い職種」であるバックオフィス系の募集が活発です。そもそもバックオフィス系のポジションは、人材が不足気味という背景があり、好不況にかかわらず求められます。ただ、注意していただきたいのは、バックオフィス系の中でも広く浅くやってきた方よりは、専門スキルを持っている人材が求められ、40代の方よりは30代前半までのロストジェネレーションの方々のほうがニーズは圧倒的に高いです。

年齢的には、いわゆるバブル崩壊により失われた10年に相当する、20代後半から30代前半に対するニーズは高いです。ただし、経験・スキルのある人材であればという条件はつきます。

冷え込みという点で言えば、どのような職務が影響を受けていますか?

特に、不動産金融関連職は、大きな影響を受けています。商業系不動産の投資ニーズに関連する職務は、まだ一部動きがありますが、住宅系(マンション)不動産投資関連業務はほぼ動きがないと言って差し支えはないと思います。また、サブプライム問題の先行きが見えないこともあり金融業界全体でも求人を手控えています。特に、昨年までは常に求人の多かったファンドマネージャー、アナリストといった資産運用関連業務においても、株式市場への期待が薄れていることもあり、今までのような勢いは感じることができません。現状は、業務拡大というよりも退職者の補充といった色合いが強いです。

全体の年収水準についてはいかがでしょうか?

全般的には、横ばいという状況でしょう。年収については、個別の企業によって、またその方の能力・業務内容・経験によって、大きく違ってきます。上限については、青天井に近い会社もあります。一般的に、以前ほど年齢と年収がリンクすることがなくなってきている感じは致します。できる人であれば、年齢には関わりなく、高い報酬が得られるようになってきました。

金融スペシャリストへの転職にあたって、注意すべき点はなんでしょうか。

転職を考えるときは「その方の人生と仕事のバランス」を念頭に置いて、どういう会社でどうキャリアを作っていくのかを考えることが重要だと思います。金融の仕事は多くが激務であり、また相当高い年収水準でもあることから、目先のポジション・年収に強くこだわる方が多いです。しかし、一方で最近は、金融業界で無理をして健康・体調を崩した方からの相談が増えています。そういった方から「年収が少し下がってもいいので、もう少し楽な仕事を。」という相談を受けます。しかし、「楽な仕事」の求人はほとんどなく、その結果大幅な年収ダウンにならざるを得ないケースを見てきました。そもそも、無理をして体をこわす時点で遅いと思います。激務の代償に高い年収を追求するだけでなく、今の生活がいつまでも続くという前提を取り払って、人生全般を俯瞰してバランスの良い人生と仕事、そして転職を考えることが大事だと思います。
「金融スペシャリストの転職事情」のまとめ 金融スペシャリストへの転職を考えるにあたって…押さえておきたい、3つのポイント
POINT1●全般的にみると、採用意欲は高い。経験・スキル・専門性が、より重視される傾向。---サブプライムローン問題の影響による採用縮小が大きかったのは、業界内未経験業務への転職といったポテンシャル重視の求人。経験・スキル・専門性のある人材は、M&Aなどの成長分野を中心にニーズは高く、転職してキャリアを高めるチャンスは十分にある。
POINT2●投資銀行・バックオフィスの求人が活発。不動産金融は、下火に。---2007年頃に見られた、採用活動の過熱感は沈静化しつつあるものの、依然として投資銀行業務、M&A関連の求人は活発。また、不況でもニーズが衰えないバックオフィス部門の求人熱は高い。一方で、サブプライムローン問題の影響を受けた不動産金融部門は、企業によって採用意欲は異なるものの、全体的には下火に。
POINT3●年収・待遇・人気職種だけで選ばない。将来的に専門性を高めるという視点も必要。---金融業務の大きな人材トレンドを見ると、業務の専門化・高度化に伴い、それぞれの専門性や、具体的な経験とそれに基づく見識が評価されつつある。転職を考える際には、報酬の高さや花形・人気職種という点だけを重視するのではなく、自らの目標と会社の業務内容・風土を視野に入れて、長期的に自分の価値をどう高めるかを考えることが必要。
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事務局より
昨年から今年にかけて、求人の冷え込みは厳しいものがあります。ただ、コンサルタントへのアンケートとインタビューを通じて、「昨年が、全体的に過熱気味だった」という声が多く聞かれました。業界全体を俯瞰すると冷え込んでいる印象を持ちますが、職種・業界ごと、あるいは個別の企業で見れば、積極的な求人活動をおこなっています。

また、昨年のように大がかりな採用活動ではなく、人材紹介会社に依頼して目立たずに採用をしているケースもあります。ぜひ[en]転職コンサルタントの情報を活用し、情報収集に力を入れていただきたいと思います。
[編集担当] 事務局 わかはら 
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